2008年06月06日

人命救助

サラを預けて、歯医者さんに行った時のこと。池袋にあるので、サラなしで一人で乗った都心行きの電車は、10時過ぎとはいっても、かなり混んでいた。
座れたらラッキー♪なんて思ってたのは甘かった。

所狭しと人を掻き分け、なんとかつり革までたどり着き、自分の場所を確保した。
電車が発車して、10分ほど経った所だろうか、
急に左側の視界が明るくなった。と、同時に

若い男の人の声:「大丈夫ですか?」との声に、そっちの方に目を向けるとつい先ほどまで私の横に立っていたおじいさんが、フラっとスローモーションのように倒れ、男性に寄りかかっていた。
おじいさん:「ううぅぅ・・・」
若い男性:「大丈夫ですか?どうしました?」

人が倒れたので、たちまちその周囲の人がどいて、おじいさんが横たわった。
私はすぐ近くでその有様を目にした。

(貧血か何かかな・・・大丈夫かな・・・・)

近くにいた40代くらいの男性:「おい、人が倒れたぞ。横にそっと寝かせてやれ」

ざわめく車内。

「誰か、この中にお医者さんか、看護婦さんいらっしゃいませんか?人が倒れました!!!!」
大きな声でその男性が叫んだ。

と同時に
「はい!私看護婦です」という人が現れた。
そして続いて
「私も看護婦です」という人が近寄ってきた。

看護婦さんは、おじいさんに必死で呼びかける。
「大丈夫ですか?お名前は?」

おじいさんは、呻き声しか出せない。

(これは大変だ・・・何かしなくちゃ・・・)

そのうちに、おじいさんの目を開いて瞳孔の確認をする看護婦さん。

「まだ、大丈夫。誰か!車掌さんに連絡して!伝言ゲームのように伝えて!!」
車内に響く懸命な声。

そして、ピーピーと鳴り響く音。

車両の端っこから「連絡しました!」という声が聞こえた。

看護婦さん:「誰か、ビニール袋持ってませんか!?」必死な声。

急いで探すとたまたまかばんの中に入っていたビニール袋。しかし、私が差し出す前に他の乗客の方が「これ使って!」と手渡した。

看護婦さん:「大きいタオル持ってる方貸してください!!」

そうすると、どこからかバスタオルのようなものが「これ使って!」と出てきた。

おじいさんの意識はなくなってしまい、ベルトを緩め、服を脱がし、3人の医療に携わっている人の手によって人工呼吸、そして心臓マーッサージが始まった。ビニール袋は穴があけられ、人口呼吸するために使われていた。

「心臓マッサージは15回!そしたら息吹き込んで! 1,2,3,4,5・・・・・・・・・15! 息吹き込んで!2回!」

懸命な動作が続く。

「ダメ!返ってこない!もう一度!」

「1,2,,3,4,5・・・・・15! 呼吸!」

「ダメ!もう一度!」

そんな中、近くの男性が携帯電話で119番通報。

「○○行きの電車内で人が倒れました。意識ありません。もうすぐ△△駅に着くので救急車を一台お願いします」

そのうちに、
「私、救命士です。変わります!」という女性の方が心臓マッサージを始めた。

心配そうに見守る乗客の真ん中で、人命救助の為の必死な努力が行われていた。

そして、電車は駅に着いた。
ホームには既に担架を抱えた駅員さんが待ち構えていた。
「男性の方、足を運ぶの手伝ってください!!!」という声と共におじいさんはホームへ運ばれていく。

唯一、私が声を出したのは、
これから乗ってこようとしている乗客に、
「病人がいるので、出るまで待ってください」
ということを伝えるためだけだった。

・・・おじいさんのその後が気になって、ホームに残ることも出来たのだけど、私に出来ることはないし、見物人になるのもどうかと思って、すぐ発車する元の電車に乗り込んだ。


すごく、衝撃的な出来事だった。

私自身、おじいさんの為に何も出来なかったことが、すごく悔やまれて仕方なかった。

もっと早く119番できたんじゃないのか?
もっと早く、誰か、お医者さんいますか?って言えたんじゃないか?
救助方法知っていれば、何か迅速に手伝えたんではないか?
AED用意しててください、って電話で伝えることができれば良かったんじゃないか?

隣に立っていたのに、私。

すごく、何も出来ない、ただ見てるだけの自分が情けなかった。



そう滅多に起こるものじゃないけど、次同じような事態に合ったら、何かできるようになっていたいと思う。

おじいさん、どうかご無事で・・・・
posted by JOJO at 22:28| Comment(2) | 興味深いこと
この記事へのコメント
もっと自分になにか出来たんじゃないかって思う気持ちはとっても大切だと思うよ。
次につながるステップになるから。

居合わせた人みんながそういう気持ちになれば救われる命も増えるはず。

一緒に働いていた救命の先生も「Bystanderの存在がその人の命を左右する」って力説してたよ。
病院で処置をする医者ではなく、その場に居合わせた一般の人たちの存在が一番影響力を持ってるなんてスゴイことだよね。

救命講習は消防署で無料でやってると思うから、ぜひぜひ参加してみて!2〜3年おきに受講してくださいって書いてあったよ。
という私もAEDに触ったことないから、一度受けに行かなきゃと思ってるんだけどね。

心臓マッサージや人工呼吸だけじゃなく、声をかけたり、助けを呼ぶことだって立派な救命行為。
乗客を止めたのだって、連携プレーの一環だよ。
ちゃんと手助け出来てるよ、JOJOちゃん。

何にも出来ないなんて思わず、まずは勇気を出してアクション!
これがなかなか難しいんだけどね。。。

今回の救命処置は連携がよくとれてて、すごいと思う。
ある意味、おじいさんは不幸中の幸いだったんじゃないかな。

みんなの想いが通じて、おじいさんの意識が戻りますように
Posted by ばけ。 at 2008年06月07日 02:28
この出来事があった直後は、何もできなかった本当に自分にショックで泣けてきちゃったよ。
でも、ばけちゃんのコメントに少し心すくわれたよ。
ありがとう。

救命講習やっているのは、知ってたんだー。
AEDが始まった時に旦那が一度講習に行きたいと言っていて、一度調べたものの、なんかそのままになってたの。

あの時行ってれば・・・

悔やむことは沢山あるけれど、次回こういう思いしないように、行ってこようと思うよ。

ありがとうね。

おじいさん、倒れて1分以内には処置が始まっているので、無事でいらっしゃるといいな。
Posted by JOJO at 2008年06月10日 11:55
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