人命救助
サラを預けて、歯医者さんに行った時のこと。池袋にあるので、サラなしで一人で乗った都心行きの電車は、10時過ぎとはいっても、かなり混んでいた。
座れたらラッキー♪なんて思ってたのは甘かった。
所狭しと人を掻き分け、なんとかつり革までたどり着き、自分の場所を確保した。
電車が発車して、10分ほど経った所だろうか、
急に左側の視界が明るくなった。と、同時に
若い男の人の声:「大丈夫ですか?」との声に、そっちの方に目を向けると
つい先ほどまで私の横に立っていたおじいさんが、フラっとスローモーションのように倒れ、男性に寄りかかっていた。
おじいさん:「ううぅぅ・・・」
若い男性:「大丈夫ですか?どうしました?」
人が倒れたので、たちまちその周囲の人がどいて、おじいさんが横たわった。
私はすぐ近くでその有様を目にした。
(貧血か何かかな・・・大丈夫かな・・・・)
近くにいた40代くらいの男性:「おい、人が倒れたぞ。横にそっと寝かせてやれ」
ざわめく車内。
「誰か、この中にお医者さんか、看護婦さんいらっしゃいませんか?人が倒れました!!!!」
大きな声でその男性が叫んだ。
と同時に
「はい!私看護婦です」という人が現れた。
そして続いて
「私も看護婦です」という人が近寄ってきた。
看護婦さんは、おじいさんに必死で呼びかける。
「大丈夫ですか?お名前は?」
おじいさんは、呻き声しか出せない。
(これは大変だ・・・何かしなくちゃ・・・)
そのうちに、おじいさんの目を開いて瞳孔の確認をする看護婦さん。
「まだ、大丈夫。誰か!車掌さんに連絡して!伝言ゲームのように伝えて!!」
車内に響く懸命な声。
そして、ピーピーと鳴り響く音。
車両の端っこから「連絡しました!」という声が聞こえた。
看護婦さん:「誰か、ビニール袋持ってませんか!?」必死な声。
急いで探すとたまたまかばんの中に入っていたビニール袋。しかし、私が差し出す前に他の乗客の方が「これ使って!」と手渡した。
看護婦さん:「大きいタオル持ってる方貸してください!!」
そうすると、どこからかバスタオルのようなものが「これ使って!」と出てきた。
おじいさんの意識はなくなってしまい、ベルトを緩め、服を脱がし、3人の医療に携わっている人の手によって人工呼吸、そして心臓マーッサージが始まった。ビニール袋は穴があけられ、人口呼吸するために使われていた。
「心臓マッサージは15回!そしたら息吹き込んで! 1,2,3,4,5・・・・・・・・・15! 息吹き込んで!2回!」
懸命な動作が続く。
「ダメ!返ってこない!もう一度!」
「1,2,,3,4,5・・・・・15! 呼吸!」
「ダメ!もう一度!」
そんな中、近くの男性が携帯電話で119番通報。
「○○行きの電車内で人が倒れました。意識ありません。もうすぐ△△駅に着くので救急車を一台お願いします」
そのうちに、
「私、救命士です。変わります!」という女性の方が心臓マッサージを始めた。
心配そうに見守る乗客の真ん中で、人命救助の為の必死な努力が行われていた。
そして、電車は駅に着いた。
ホームには既に担架を抱えた駅員さんが待ち構えていた。
「男性の方、足を運ぶの手伝ってください!!!」という声と共におじいさんはホームへ運ばれていく。
唯一、私が声を出したのは、
これから乗ってこようとしている乗客に、
「病人がいるので、出るまで待ってください」
ということを伝えるためだけだった。
・・・おじいさんのその後が気になって、ホームに残ることも出来たのだけど、私に出来ることはないし、見物人になるのもどうかと思って、すぐ発車する元の電車に乗り込んだ。
すごく、衝撃的な出来事だった。
私自身、おじいさんの為に何も出来なかったことが、すごく悔やまれて仕方なかった。
もっと早く119番できたんじゃないのか?
もっと早く、誰か、お医者さんいますか?って言えたんじゃないか?
救助方法知っていれば、何か迅速に手伝えたんではないか?
AED用意しててください、って電話で伝えることができれば良かったんじゃないか?
隣に立っていたのに、私。
すごく、何も出来ない、ただ見てるだけの自分が情けなかった。
そう滅多に起こるものじゃないけど、次同じような事態に合ったら、何かできるようになっていたいと思う。
おじいさん、どうかご無事で・・・・
Posted by JOJO at 22:28